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8.15

『ツリー・オブ・ライフ』

テレンス・マリックという監督になんの思い入れもなければ大した興味もないままに『ツリー・オブ・ライフ』を見に行ってみたが、なんだかなあ。
なんとなく崇高な感じのするつぶやきに乗ってアメリカ郊外の中産階級家庭のドラマが始まるのかと思いきや突然環境保護のPRビデオみたいな生命の起源から宇宙の神秘、文明批判な映像が嵐のように流れ出す。その映像たちの無意味な美しさや子どもたちがはしゃぐ姿なんかは素直にきれいだなと感じたりもしたのだけれど、基本的なストーリとなる(というほど物語があるわけでもないけど)主人公の苦悩話があまりにもちゃっちくて、私には無駄にスケールのでかいええ歳した映画監督による父親コンプレックス克服をするのためのリハビリ映画にしか思えず、カンヌを理解出来ず無念。親を殺したい程憎む反抗期なんて誰にでもあるだろうに、これでもかってくらいに壮大な世界を描きながら最終的には映画を利用して父親をどん底に突き落とす復讐の仕方に小さい男やなあと呆れてしまい、「母さんが愛してるのは僕だけだ!」って台詞には本気で引いた。地球使って言うことか。あと、これは私がキリスト的及び宗教的なことにはまったく無知なためわかってないだけかも知れないけど、冒頭からnatureとgrace、善と悪、父と母、って勝手に線引かないでよって感じ、あと、いくら時代背景があるにしてもさすがにこの母親はマリア的つぶやきを繰り返すだけでせめてもうちょっと具体的に息子たちを守る行動をとってくれないとただの暴君なご主人様に対して従順な馬鹿妻にしか見えないと思うんですけど。ワンピースで水浴びとかマジもういいし。
と、見た直後は「ビミョー」程度の印象だったのに思い出す程にイライラするという、よくある仮面マッチョな映画だったとさ。138分長いわ。