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8.26

『ナッシュビル』

尾てい骨痛を乗り越え、夏風邪による発熱を乗り越え、猫の腎不全悪化を乗り越え、ようやく久しぶりに映画館に辿り着いたと思ったら、雨宿りついでに劇場に駆け込んだという一見紳士風エロジジイ(恥ずかしそうにシニア料金なんだよねと呟いてたから少なくともオーバー60)に上映前のロビーでめちゃくちゃしつこく付きまとわれ(自分も暇そうなくせにナンパの第一声が「君、仕事してないの?」で、無駄にイラッとした)、32歳早々自分の人生に挫折しかけたけれど、ロバート・アルトマン監督『ナッシュビル』(75年) を見たらそんなことはどうでもよくなったのでした。
アメリカ南部の街ナッシュビルで大統領選を巡る色んな人たちのああだこうだの群像劇、という説明もアホらしい程あっちこっちでしっちゃかめっちゃか、シーンが変わるごとに出てくる人も流れる音楽も違う160分、途中からそれが面白いのかつまらないのかもわからなくなってしまう世界で、映画の中で人はこんなに自由でいいのかと感心感動の体験でございました。これは私が当時の人気俳優をまったく把握してないからなのかあの妙な形のバイク野郎とかサーキットでのショータイムとか意味わからな過ぎて動揺、自分が生まれる数年前に既にこんなテンションの高い映画があったんだという事実に更に動揺。でも音痴の少女に向かって脱げと野次を飛ばすジジイたちはナンパしてきたおっさんとまったく同じ生き物だなと、ラストのピンクのドレスが妙に切なくて泣きそうになってしまったり。前回の『バード☆シット』に続き不勉強ものに優しい企画に多謝。