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8.29

ちいさなミュージック

最近の哲学ブームに乗っかって、ジャン=ピエール・ポッジ、ピエール=バルシェ監督『ちいさな哲学者たち』を吉祥寺で見てみた。
幼稚園児に哲学の授業を受けさしたらどうなるかというドキュメンタリー、舞台になっているのはフランスの教育優先地区と呼ばれる教育の成果の上がりにくい地域だそうで、幼稚園のひとクラスにも白人アジア人アフリカ系黒人とかなり人種のカオス、みんなあまり裕福なお家ではなさそうな雰囲気。そこで4〜6歳の子どもたちが哲学というかとにかくある問題に対して自分たちで考えてディスカッションさせてみようという。映画として何か変わったことをしてるわけではなく、とにかく子どもたちが最初は無関心だったのに二年間「哲学」する間に本当に自分たちの頭で考えて必死で言葉を選ぶ姿とその内容だけを見せる、それはそれで十分面白かった。途中で居眠りする子もいれば先生が女だからってあからさまにバカにしてる男子もいたり。話し合うテーマは、子どもであるとはどういうことか、愛とは何か、貧困とは何か。自由とは何かという問いに対する4歳女児の答えは「独りになること」。彼女のこれまでの人生に何があったのだとちょっと不安になってしまったけど、大人が無責任な学級会ノリじゃなくこれからの日本でもきちんと専門家が支えるこういう時間は結構有効なんじゃないかと思えました。私が幼稚園のときの将来の夢は家政婦さん。変な子どもでした。

夜もそのまま引き続き吉祥寺にて、PROJECT FUKUSHIMA共振企画「爆音で、わたしたちの明日を考える」 で上映されたジャン=リュック・ゴダール監督『アワーミュージック』(04年)を爆音鑑賞。公開時以来数年ぶりに見て、相変わらず自分の記憶力の貧しさにひとり悲しくなってしまったのだけれど、いくらタイトルがアワーミュージックとは言えここまで音と音楽が凄い映画だとは思ってなかった。あっちからこっちから重なり合って暴れていると思ったら不意に無音になったと思ったら静かに水が流れていたり、初見以上にドキドキしてしまった。それと『ふたりのヌーヴェルヴァーグ』の後だからか、おじいちゃんゴダールの姿にも妙に感動してしまった。見えないはずのオルガが何を見ているのか、この機会に爆音で見れてほんとに良かったです。