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9.07

『NINIFUNI』

既にこれを見た友人たちからとにかく一度見てみてと強く押されていたし先日のロカルノ映画祭でも話題だったみたいだしでイヤでも膨らみまくる期待を前提に真利子哲也監督『NINIFUNI』をCALF夏の短編祭という映画祭で鑑賞致しました。そしたらこれが期待以上と言うか期待してたものとは全然違うと言うか、久しぶりに見ながら動揺してしまうようなすごい映画で、いつもみたいに適当なこと言ってごまかせないな困ったなとピンチ。千葉の片隅を舞台に青年がひとり歩いたり運転したり自殺したりしてるだけの42分間なんだけど、こんな映画今までに見たことないかも(もちろん影響を受けてるだろう幾つかの映画のタイトルはすぐに想像できるけど)。
監督の『イエローキッド』は、そのわかりやすい暴力的な感じ(自分の日記を読み直したら「シブヤ系国道映画」と書いてて中々上手いやん私と思った)が嫌いではなく技術的な上手さも含め結構好きだったのですが、今回も宮﨑将が画面に映った瞬間から広がる死の匂いは半端ないんだけど既にそれが暴力なのか日常なのかわからない、冷めたポテトが食べたいのか食べたくないのかもわからない、今の日本で81年生まれの監督がこれを作ったという事実を喜んでいいのやら恐れていいのやら。それでもやっぱり「男の子」映画であることが微妙に残念な気もしなくもないが、今回は保留。
主演の宮﨑将を改めてやっぱ凄まじい役者だなと確認したのはもちろん、月永雄太氏によるカメラがほんと素晴らしかったです。あの夕暮れの海とかラストカットとか、日本でよくこんなの撮れたなと驚いた。海辺に流れるユーロビートがここまで人を不安にさせるかと、機会があれば見てみて欲しい(今作の前に上映されてた幾つかの短編アニメは、ごめんなさい、寝てました)。