9.23
『昭和群盗伝2 月の砂漠』
私としてはだいぶ頑張って13時渋谷に成功、なんとなくどうしても見たかった瀬々敬久監督『昭和群盗伝2 月の砂漠』(『破廉恥舌戯テクニック』90年)をImage.Fukushima vol2にて鑑賞、結果、頑張って早起きして見て良かったと納得の感動でございました。凄い映画だった。
226事件からの朝鮮人問題からのヤクザ紛いの土建屋絡みな原発利権問題を扱いながらも最終的にはめちゃくちゃ切ない女と男の物語、が62分に凝縮されているあまりにも濃い作品なんだけど、劇中でもろに「福島第一原発で死亡事故」という新聞記事が出てきたり、土建屋の手配師が「明日作業員20人すか!?まさかメルトダウンしたんじゃないでしょうねー」と軽口を叩くシーンがあり、全然笑えない。でももちろんピンク映画だから濃厚なセックスシーンはあるものの被爆者の男とやった女とは本番ではなく道具を使った行為しかしない、全然燃えない。
と今このタイミングで見ることに色々感じることも多々あったけれど(特に代表取締役的な個人的立場から)、原発ジプシーになり下がり放射能にやられた足をびっこ引きながら走る元マラソンランナーの中年男と国家に踊らされた元マラソンランナーの老紳士が川辺を疾走する姿、恋人に自殺された女子高生の赤いジャンパーの下の裸の美しいこと泣けること(最後に映る国会議事堂の気持ち悪いこと)、あまり真面目な観客ではないけれど今まで見た瀬々監督の作品で一番好きかもってくらい思いっきりハマってしまった。意外と叙情派。
なのでその数時間後に見たとあるハリウッド映画のあまりの軽さに頭がクラクラしたのだがそれはまたいずれ。