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10.18

『家族X』

試写で拝見した自主映画『症例X』が結構好きだったので吉田光希監督メジャーデビュー作『家族X』もちょっと期待して向かったのですが、前作同様ほぼ会話らしい会話がなく進んでいく今作は、その内容のせいかあまり成功してるとは思えずやや残念。
『症例X』はその世界をXとしながらも映画の中の息子と母の存在がこのふたりにしか有り得ないものだということがびんびんに伝わってきたため会話がなくてもスリリングに見れたのだけど、『家族X』は、東京郊外の新興住宅地を舞台に、リストラ寸前のダメ夫といい歳してフリーターのダメ息子と暮らす潔癖気味の妻がだんだん心のバランスを崩していく、ってXを単純化し過ぎ、あまりにも散々見たことのある筋書きなを伝えるために台詞がなくても映像が十分過ぎるくらい説明的に見えて。腐っていく水とか枯れた植木鉢とか過食嘔吐とか、そこまで親切じゃなくてもと思ってしまったとさ。って言うか、母親の前では反抗的でも実は真面目に肉体労働してるって一般的にめっちゃええ息子だと思うんですけど…。
ドキュメンタリー風を出すためかカサヴェテス風を出すためかとにかく始終カメラが手持ちで被写体と近い(基本的に肩越し)のも途中で少し疲れてしまい、妻が暴れるシーンは近過ぎるし揺れ過ぎるしでピントあってないしでマジで何が映ってるのかまったくわからなくなってしまっていたのは狙いだったのだろうか。南果歩演じる妻が化粧っ気もなくやつれていって、だんだん男か女かわからないような顔になっていくのはちょっとホラーで怖かったです。あと、自分が触ったきっかけで会社のパソコンがウィルスにやられる父親の姿ってのはさすがに情けなくてひどく可哀想でした。でも自分がめっちゃああいうことしそうなのはわかる。

家族Gの近況、猫が猫舌というのは嘘だと思う。ちょっと引くぐらいの勢いで風呂の熱湯を飲むのがマイブームな雌猫。
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熱湯にあまり興味はないが、とりあえずいる癌猫。
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