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10.25

『あしたのパスタはアルデンテ』

昨日は、東京国際映画祭の華やかなムードの中ほぼ満席の劇場で杉田協士監督『ひとつの歌』を何度目かの鑑賞。さすがはぎろっぽんのシネコンだからか、今まで鑑賞した中で群を抜く映像の美しさと音の鮮明さで、今回初めて気付けるような細かいところまで見えて、改めていい映画だなと思いました。

今日は、10月25日はパスタの日だと言うので(らしいです)どんな内容かも全く知らずにフェルザン・オズペテク監督『あしたのパスタはアルデンテ』 を見に行ってみたら、ただ主人公がパスタ工場の跡取り息子という設定以外ほとんどパスタが絡んでこない詐欺めいた邦題だったものの、映画自体はとても素敵なイタリアンだったので結果的には満足。
冒頭、白いヴェールとウエディングドレスをはためかせながら大股で歩く花嫁が突然銃を構えたかと思うとその数分後には主人公が兄弟揃ってゲイをカミングアウトって、一体これから何が起こるんだと軽く動揺するも、どんなに周囲に反対されても理解されなくてもやりたいように生きて良しとかっこいいおばあちゃんが糖尿病の体を張って教えてくれる。スイーツに囲まれて死ぬって悲壮感がなくていいなと感心、全体的にも同性愛やメンヘル女や笑えない過去を持った妙齢の女性など結構ヘビーなものが出てくるのにどこか陽気なのはやっぱりイタリアのお国柄なのかしら。どこの国でもオカマってのはうるさいもんで保守的な親父ってのはうざいもんみたいだけど。
ひとりの女性のお葬式と結婚式が同時に現れるラストも静かに感動的で、今シネスイッチ銀座さんではこれと『さすらいの女神たち』が同時に上映されていて、両作品とも邦題さえ何とかしてくれればという悔いは残るもののいい組み合わせじゃないでしょうか。