『ハッピーフィート2』
ゼロ年代のアメリカ映画の中でも1、2を争う病みっぷりだった『ハッピーフィート』の続編となれば見逃すわけにはいかぬと寒空の中ジョージ・ミラー監督『ハッピーフィート2踊るペンギン レスキュー隊』 を近所に見に行ったら、独りなのに盛り上がり過ぎて隣のカップルに笑われました。吹き替えで見てしまったけどオリジナルの声優にはブラッド・ピッドやマット・デイモンが参加してるらしいのでもう一回見直したい。日本語版のバナナマンも良かったけど。ちなみに「ラピュタ」はまともに見たことありません。
前作同様今回も、きゃわゆいふかふかの皇帝ペンギンちゃんが数千匹の仲間たちと唄って踊ってそれはそれは楽しいミュージカル映画、マイノリティーであることを恥じるなという徹底したメッセージと願えば叶うという熱い想いが伝わるものの、そこにちょいちょい挟まれる、タンカーから流れてきた油にまみれて死にかけるペンギンや飢餓の恐怖に怯えて『ミスト』ばりに集団ヒステリーを起こしかけるペンギン(311直後だと絶対上映禁止になってただろうと思う程自然災害の怖さを教えてくれます)。ラスト、北極中の動物が種類も超えて一体となり壮大な歌と踊りを展開する一番の見せ場では、そこで初めてダンスというものを見た食物連鎖の底辺からの脱却を夢見る小っちゃいエビの「これは何!?」という問いに相方の小エビが「実存という恐怖から一時的に逃れようとしてるんだよ!」と丁寧に答えてくれます。さすがは『マッドマックス』の監督、大事な甥っ子には見せたくありません。
黒い海にエレキギターのソロが轟いたとき人間とペンギンが心を通わす…、ってこれはさすがに調子乗り過ぎと思ったけど、CGアニメ特有の素晴らしいスピード感、ヒップホップのフリースタイルからヨーデルまで使いこなすノリノリな音楽、本気で爆音上映を希望します。
夜、渋谷に移動してレイトショーを、の前に時間があったけど映画前にお酒を呑むと寝てしまうのでぐっと堪えて劇場に行ったら金曜日はそういうサービスの日とかで入り口でハイボールを振る舞われてしまい、せっかくの親切を断るわけにもいかず、残念な結果に…。渋谷毅の音楽はかっこよく響いていた…。