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12.16

『ラブ・アゲイン』の友人

私としたことがなんだか最近ラブコメ不足だわとグレン・フィカーラ&ジョン・レクア監督『ラブ・アゲイン』に駆け込んでみたら、なんとも素敵な映画で大満足。この監督たちの前作『フィリップ、君を愛してる!』も、ゲイのおかしな恋愛をものすごくベーシックなラブストーリーに仕立てた良作でしたそう言えば。
前半の雰囲気では、妻に浮気された挙げ句離婚してほしいと言われた超冴えない中年親父がバーで知り合ったイケメンヤリチン若造による指導のもとどんどんあか抜けていき妻を見返すために奮闘するドタバタコメディ、くらいに思わせて、後半からこれでもかってくらい恋愛映画のあらゆる要素を盛り込んだお腹いっぱいな内容になっていくのにそこに下品なギャグまで挟んで117分に上手く納める、情けない男たちの爆笑乱闘シーンの後にそれでは終らず父と息子の卒業式まで持ってくるのはすごい脚本だなと思って調べてみたら、泣ける名作『カーズ』(アニメの)の人だったのですね。このお話を面白い映画にするために、徹底的に奇をてらわず(サウナのシーンも含め)正しく作り通しました感が良かったです。最後のスローモーションほっぺにチューでうるうるしてしまった。隠れた主役は中学生の息子でしたというオチに見せかけて、中高年の観客の方が絶対泣けると思う。
イケメンヤリチンによるとニューバランスは大学生かスティーブ・ジョブスしか履く権利はないそうです(あの買い物シーンは買い物依存症の私にはかなり快感だった)。母親を演じるジュリアン・ムーアの株は日々増すばかり。

夜は数年ぶりの下高井戸シネマさんに移動して、ヴィム・ヴェンダース監督『アメリカの友人』(77年)を。十代の頃ビデオで見た以来の再見で、さすがに結構覚えてたけどここまでガチガチの映画だったと今回初めてわかってびっくり、感動。31歳でこんな映画を撮るヴェンダースさんの色気は凄い。そして今回初めて色々出演してる監督さんたちをちゃんと認識できた…。眼帯姿がかっこ良過ぎてなんかちょっと笑ってしまったニック先生の「人に好かれようとするな」という言葉を心の支えに生きていこうと思いました。この頃のデニス・ホッパーはショーケンに似ている。