宇宙人ボーイ
見るタイミングを逃しまくりで痛いなと思っていた映画たちが丁度いい案配で上映されてたので吉祥寺バウスシアターさんにて勝手に二本立てデーを開催、グレッグ・モットーラ監督『宇宙人ポール』 とルーベン・フライシャー監督『ピザボーイ 史上最凶のご注文』 を続けて見てみたら、これが色んな意味でかなり勉強になる組み合わせで、なんと言うか、映画を撮るのには本当に知性って必要なんだなと当たり前のことに改めて気付かされたりしたのでした。『ピザボーイ』、個人的にだいぶヒット。
オタクの冴えない男ふたり組が主人公、会話の端々に映画のタイトルが出てくるようなマニアをくすぐる気の利いた台詞、という共通点がありながら、宇宙人という飛び道具を使いエイリアン映画にスピルバーグやシガニー・ウィーヴァー姐さん本人たちを出演させるびっくりオマージュまで用意するもオタクのやることはどこまでいってもオタクの自己肯定的な世界でしかないんだなとがっかりした『宇宙人ポール』に対し、どこにでもいるピザ屋の兄ちゃんがインド人を巻き込んであっというまに銀行強盗になるだけのお話が下らない下ネタと共にどんどん広がっていく世界を82分にまとめた『ピザボーイ』の感動的なこと。冒頭、主演のアイゼンバーグくんが外見には似合わない派手なカーアクションのシーンに流れるビースティー・ボーイズ、ってだけで満足してしまう32歳なお年頃ってのもあるだろうけど、本気で『スター・トレック』に引けを取らない面白さだと思うので、今更ながら全然話題になってなかったことが謎。みんなもこれから「ほんとにコイツ馬鹿なんだな」と観客に思わせる人物を描くには、3Dメガネをかけた男が「ジェイソンのマスクの穴にファックしてやる!」と叫びながら『13日の金曜日』が流れるスクリーンの前で腰を振るカットをひとつ入れればいいんだと思うよ。
とかなんとか言いながら『宇宙人ポール』もそれなりに笑ったりしたわけで、やっぱりアメリカ映画って凄いなあと感心した一日。そしてこの監督たちの作品両方に出演してるアイゼンバーグくんの次回作がウディ・アレンてのも楽しみ過ぎる。