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3.16

『SHAME-シェイム-』

どんな映画かまったく知らず、ただ「セックス依存症」という宣伝文句に惹かれて見に行ってみたスティーヴ・マックィーン監督『SHAME-シェイム-』 は、久しぶりに非の打ち所のないトンデモ映画だった。一応なんかしら映画祭で受賞してるらしいけど、なんじゃこりゃ。
家族とも恋人とも安定した関係をもてず、本当に性的なことでしか孤独を満たせない男の哀しさ、冒頭から爆音で流れる大袈裟な音楽、眉間に皺を寄せっ放しの苦悩ヅラな主人公、そんな精神状態は確かに大変だろうねとは同情しつつ、笑ってしまった。だって、地下鉄乗れば女のケツを追っかけ、会社のトイレでは性欲を我慢し切れずオナニー、コールガールとセックスした後もシャワー浴びながらやっぱりオナニー、って言うかイライラしたらとりあえずオナニー(妹に目撃されて逆切れ)、パソコンを開けば当然のようにエロ動画(見過ぎで上司にバレる)、そんな自分に嫌気がさしてヤケになって男とやったり3Pを試してみたりしてる間に(ネタバレとか気にしてる人がいたらごめんなさい)唯一自分を求めてくれる妹の自殺未遂をあっさり見逃し号泣、って、大爆笑してしまったんですけど。それだけならコメディ映画でいいんだけど、ちょっと油断すると無駄に異様な長回しとかやってるから、一体どこまで本気でどこまでふざけてるのか混乱してしまって。間違ってもこれがアートだとは思えないし決して面白くはないんだけど、このどうしていいかわからない感を共有するためにみんなに見て欲しい。なので是非。
ただ、妹役のキャリー・マリガンって今かなり人気急上昇中のイットガールなのに、ここまでワケのわからん映画でたいして重要でもないシーンでヌードにまでなって、 こんな作品でもやっぱりアメリカ映画ってすごいなあと変に感心させられてしまった。うーむ。