3.29
『RIVER』
これはいけません、廣木隆一監督『RIVER』 。平日のレイトショーにしては結構人入ってましたけど。
08年に起こった秋葉原通り魔殺人事件で恋人を殺されたという設定らしい主人公の女の子が、ゲリラ撮影だろう秋葉原の街をただ黙って歩く冒頭の長回しとか、AVだのメイド喫茶だのに走る自分探しな若者たちとか、どうでもいいことを百歩譲る。傷ついた心を路上ミュージシャンの歌に癒されまくって思わず話しかけて自分のこと語っちゃう、泣ける程安っぽい感受性も、蓮佛美沙子クンの美しいおでこに免じて千歩譲る。それでもやっぱり、『ヒミズ』同様映画の中で人を不幸にしたいがために殺人事件の被害者と大震災の犠牲者を一緒に再生に向かわせる無神経過ぎる精神にはむかつかずにはいられず。なんで誰か止める人いなかったんだ。
ヒロインがふらふらと秋葉原を彷徨う中で出会った青年が実は両親を東日本大震災で亡くしたらしく、ラスト数分は彼が実際の被災地を歩き続ける(途中で泣く)映像がだらだら映されるんだけど、これを見て観客に何を思わせたいのかね。 「これが現実だよ!」と女の子が何度も口にするんだけど、通り魔か地震でも起きなきゃ人の命の大切さに気付けないって、ただの馬鹿なんじゃないの。録音の学校に行くという唯一ちょっと面白そうな主人公の進路も途中でどっかいくし。死んだ恋人の名前は「ケンジ」らしいがまさか中上とか言わないでよ(小沢ではないだろうから)。って無駄にイライラして89分程度の映画なのにやたら疲れたとさ。