『テイク・シェルター』
(ごく一部の)世間ではどうやら賛否両論に分かれてるらしいジェフ・ニコルズ監督『テイク・シェルター』は、gojo的には、まあよくできたトンデモ映画って感じでしょうか、と思いっきり上から言ってみる。
度重なる悪夢に世紀末の嵐を予感し怯える男、ってだけのストーリー、彼がその妄想なのか現実なのかはっきりしない現象にひとり悶々とする姿が延々と続くだけの世界が、いくらなんでも長過ぎる。日常の中に現れる恐怖的なことをスマートに描いてらっしゃるってのはびんびん伝わるし、幾つか過去の映画を思い出す瞬間もあって勉強熱心に作られてるのはわかるんだけど、ラストのオチ(?)にいくまでもうひとアクションかひとドラマあってくれないとこれで120分は正直疲れた。この父親だけで引っぱるにしてはこいつの性格うじうじし過ぎで本当になんの魅力もなくて見ててイライラするし。さりげないカットやシーンが非常に上手く撮られてるのには素直に感心しましたが、だから?って言いたくならなくもない。母親の精神疾患とか娘の聾唖とかも、特に要るような要らんようなで微妙。明らかに低予算でこんなわけのわからん映画を自主じゃない場所で作れる、アメリカ映画の懐の大きさには改めて感心。同じ劇場で公開されてる『へんげ』と並べて見るのもある意味面白いんじゃないかと無責任に思いました。
と、その前に、世界が終るようなもの凄く恐ろしいことが起こるかもしれないと気付いてしまったとき、無理してでもシェルター作って自分と家族だけでもなんとか生き延びようとするその発想にまったくついていけなくて、困った。そこまで大変な事態に巻き込まれたらもう素直にみんなと一緒に死ぬわ、って思ってしまうのは私が馬鹿だからかアメリカ人のキリスト教観との違いなのか、ようわからん。しかし監督さんは私と一歳違い。