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4.17

『スーパー・チューズデー 正義を売った日』

昨日は、御好意で常本琢招監督『蒼白者』の試写を拝見させてもらう。大阪は鶴橋を舞台に男と女と在日とヤクザが韓国語と日本語を交えて展開する切ないアクション映画、は、もちろん大阪出身の在日としては個人的な感情としても色々あり、最近続いたアメリカで撮られた低予算映画との差異を考えずにはいられないことも色々あり。オバハンに混じって鶴橋の町を歩く忍成修吾くんは相当やばかった。あんなんおったら二度見しまくる。

本日は、何となく気になってジョージ・クルーニー監督『スーパー・チューズデー 正義を売った日』(ネタバレし過ぎなこの邦題はどうかと思う)を見に行ってみた。
最初は若く正義感溢れる政治家の広報官だった主人公が、知事の大統領選に深く関わるうち政界の汚いかけひきややりとりに結局彼自身もずるずるとダメな大人になっていく、という、今更社会派ドラマとも呼べないようなよくある話、実生活でも政治的な行動や発言が熱いジョージ兄貴が、これを本気で現実をうまいこと皮肉ったつもりでいるのかが微妙過ぎるし、もし本気ならだいぶイタいんだけど、でも、ひたすら地味なやりとりや出来事を積み重ねて進んでいく映画自体は、なんか面白くて感心。『ドライブ』に続き主演のライアン・ゴズリングくんや脇のフィリップ・シーモア・ホフマンやいかがわしい知事を演じるジョージ兄貴本人や、とにかく役者がいいってのが大きいとは思うが(あと最近のマリサ・トメイ出演作にハズレなし)、男と女がバーで呑みながら今夜中にやるやらないの駆け引きをうだうだ展開するシーンとか選挙事務所での大学のサークルみたいなノリの会議とかが、なんかいい。華やかさはゼロだけど、こういうことでいいんだと思った。
結局権力を欲しがるような男は馬鹿でエロくてどうしようもないというオチは仕方ないとして、どうせ映画なんだから最後は主人公が知事の爆弾ネタを暴露してアメリカを混乱させて終る、くらいの爽快感があればもっと良かった。政治の勉強をしてるアメリカの若者は意外と貯金してないんだなと変なお勉強になりました。