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4.24

『コーマン帝国』

もちろんロジャー・コーマンという伝説的なB級映画プロデューサーの存在と名前くらいは知ってたけれど実は彼が手がけた作品をほとんど見たことなければ彼自身の凄まじい歴史も全然知らなかったのだけど、インタビューに応えてる最中感極まって涙しながら「本当にみんな彼を愛してるんだ…」と恥ずかしそうにつぶやくジャック・ニコルソンの姿についこちらも泣かないわけにはいかなかったアレックス・ステイプルトン監督『コーマン帝国』
1950年代からインディペンデント映画の世界で50本以上の監督作と500本を超えるプロデュース作を世に送り出した世界一ケチで世界一多作な映画人ロジャー・コーマンの、御本人や今まで一緒に仕事をしてきた人たちへのインタビューからなるドキュメンタリー、ジャック以外にもスコセッシやデ・ニーロやジョナサン・デミやロン・ハワードやと超豪華な「コーマンスクール」出身者たちがにこにこと過去を振り返りロジャーさんを讃え、見るからに低予算で時間もかけられてない過酷そうな現場を共にしてきた妻や弟やスタッフたちも一切愚痴めいたことを言わない、それを見てるだけでもなんだか幸福な気持ちに。現在86歳のロジャーさんがまためちゃくちゃ穏やかそうな紳士で超素敵。09年のアカデミー名誉賞の授賞式でタランティーノがテンション上がりまくりなのも納得。
セックス!バイオレンス!宇宙船!と飛ばしまくっていたアメリカのB級映画が『ジョーズ』と『スターウォーズ』の登場によってがらっと変わってしまったというハリウッドのお勉強にもなったし、今更ロジャー・コーマン作品が見たくてたまらなくなったし、ドキュメンタリー映画として何かすごいものがあるわけじゃないけど私のような不勉強ものには有り難い映画ではないかと。ロジャーさんが監督(女性)に自分のドキュメンタリーを作ることを許可した理由が「知性があったから」ってのもまたかっこよろし。