BLOG

5.15

『別離』

中々面白いとの噂を聞いてずっと見たいと思っていたアスガー・ファルハディ監督『別離』 をようやく。ル・シネマさんが火曜日はサービスデーだと知らずに行ったら平日の午後なのにかなりの客入りで、ヒットしている模様。
冒頭から、離婚を巡る夫婦の裁判所での噛み合ないやりとり、その後も、些細な事故をきっかけに、もう一組の夫婦を巻き込んで小さな意地と小さな嘘が雪だるま式に増殖し合って、誰が悪いってわけでもないのに事態は目も当てられない程不毛で散々な方向に。二時間以上続くそれらのいざこざがダレることなく緊張感を持続させたままもっていく監督さんの演出力には素直に感心、確かに面白かったです。夫婦のやりとりだけなら途中で飽きてしまいそうなところをいい塩梅で11歳の少女(監督の実娘だそうな)がふと冷静にしてくれる。ここで終るんだろうなと思ったところで想像通りの終り方をしてしまったけど、この少女のためにも思いっきりハッピーエンドにしてしまってもよかったんじゃないかしら。大人の意地なんてほんと何の役にも立たないのなー。
もちろん舞台がイランということで、女性の立場や信仰心についての描かれ方について、へえそんなこともあるんだと驚く程度できちんと理解できたとは到底思えないけれど、でも全体的には、男と女なんて国や宗教が違っても基本的にはたいして変わらないんだなと再確認できたので、いいんだと思う。
役者がみんな良くって、特に家政婦役の女優さんがほんと見てるだけでイライラするような要領の悪さ全開な雰囲気がもう。身近にいたら絶対友だちにはならない。奥さん役の女優さんが大変きれいで、ドット柄や花柄のオシャレなチャドル(女性が頭に被るヴェール)が素敵でした。