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5.24

モンスター×2

昨日みたいな映画の後ではこれを革命映画と呼ぶにはあまりにナイーブ過ぎたか、豊田利晃監督『モンスターズクラブ』。上映時間72分とはえらい短いなと思ったが、見終わって確かにこれを90分とか引っぱられたらだいぶきついかも。
現代日本の産業システム社会に抗うため雪山にひとり籠り、大企業や政治家に送りつける爆弾を黙々と作り続ける男、何を考えているのかわからない主人公には実は自殺した兄と幸福だった家族という過去があり…。窪塚洋介と瑛太の兄弟ってビジュアル的にはだいぶ萌えるけど、世界に絶望して自殺した兄とテロを企てて引きこもる弟って、内容的にはだいぶ残念。人殺しといて妹に通報されたくらいでマジ切れするならテロなんてしない方がいい。
意味ありげなナレーションと意味ありげな長回しと意味ありげな亡霊たちに、本当に大した意味がなくて(意味がわかりやす過ぎて)、こういうの10年以上前に「ドラゴンヘッド」で読んだしという感じでしょうか。映画学校の学生が作ったならば若々しくてまあいいかと思えなくもないけれど、そうじゃないんだもねー。

で、そのままKINOHAUSE内を移動し、レイトショー上映されてる「コラボ・モンスターズ!!」へ。明日の最終日は混むだろうからと平日の夜に行ってみたのにそれでもほぼ満席の大盛況で頼もしい限り。
古澤健監督『love machine』高橋洋監督『旧支配者のキャロル』は以前に一度拝見してるので感想は割愛(しかし改めてこの映画たちのモンスターっぷりには心底恐ろしいと震え上がったけれど)。今回初めて見た西山洋市監督『kasanegahuti』、有名な古典怪談を現代を舞台にアレンジしたお話、だそうだが、冒頭から、一体この時代設定はいつなんだこの男女はどういう関係なんだこの親父は誰なんだと戸惑っている間に勝手に映画は加速して、禍々しい顔の痣も突然出てくる拳銃もここでは全部有りなんだと納得してしまう。
充実のパンフレットも含め、この三本立ては本気で色々相当やばいことが起こっている。一夜明けても旧支配者のメロディが頭から離れない。見るべし。