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5.25

『ル・アーヴルの靴みがき』

初めて予告を見たときから既に泣きそうになってたアキ・カウリスマキ監督『ル・アーヴルの靴みがき』 をやっと見てみて、やっぱりずっと泣きそうになってた。久しぶりに、見てる最中から見た後までずっとずっと幸福で心満たされた映画、素晴らしかったです。ユーロスペースで見たもんだから帰り道についVIRONでバケット万引きしそうになったぜ。あたしも明日から質素な生活するもん。
フランスにあるル・アーブルという小さな港町で、細々と、でも穏やかに靴みがきをしながら愛する妻と生活する初老の主人公マルクス(ドクター中松似)に、突然の妻の病や捨て猫のように現れる密入国者の黒人の少年(たいして可愛くない)やと災難めいたことが降りかかるも、 マルクスも、ル・アーブルに生きる人たちも、みんな当然のように助け、救われ、歌って、吸って、呑んで、犬は可愛くて。「奇跡」に関する映画の存在自体が奇跡になってしまってた。何ひとつ無駄のない瞬間の連なり、 かっこよく差す光、さすがにこれはフィルム上映で見たかったなあああ。
好き過ぎるシーンはいっぱいあったけど、夫に大病を隠す妻が顔色を良く見せるためかこっそり口紅をチーク代わりに頬に伸ばす瞬間、思いっきりきた。お馴染みのこの女優さん(カティ・オウティネン)は相変わらず素敵過ぎ(レオーが嫌なヤツだったのだけがちょっとショックだった)。そしてやっぱり、ニコラス・レイに続き、ジジイは赤いジャケットでロックする姿がかっこいい。