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5.29

『ラヴ・ストリームス』

今なら本気で辻仁成に共感できる、「やっと会えたね」という言葉を心の底からつぶやきたい、イメージフォーラムさんで開催中のジョン・カサヴェテス レトロスペクティブに、満席で入れないとか有り得ないしと早めに行ったらまさかの余裕で空席あり。うーむ。学生時代シネセゾンで初カサヴェテス体験をして以来、この日が来るのをひたすら待ち続けていた者としてはなんだか寂しい。
だって、十年以上ずっとスクリーンで見たい願っていた『ラヴ・ストリームス』(84年)をどんな映画が待ってるんだろうとドキドキしながら見てみたら、久しぶりに自分の想像してたドキドキを遥かに超えるような愛の流れが。しかし、これは今ニュープリントで見れてほんと良かったなあとしみじみ感じると同時に、こんな映画を二十代の頃に見たって全然理解できてなかったろうなあとも。もちろん32歳の現在でも十分理解できてるとは到底思えないけれど。
人気作家らしい女たらしの主人公演じるカサヴェテスと離婚によって家族に見捨てられ精神のバランスを崩しつつあるジーナ・ローランズの姉弟の、誰とも交わらないだだ漏れの愛が、あまりに凄まじ過ぎてなんかもう笑ってしまいそうにすらなってしまったのですが、めっちゃ無理矢理馬を室内飼いしようとする姿にはちょっと本気で笑ってしまった。でも最後まで傍にいるあの大型犬がさああ。ジーナのどピンクのジャケットがさああ。カサヴェテスの階段落ちがさああ。そんなことよりあの息子が、ふたりの一瞬のダンスシーンが、と言い続けてたらきりがないので、とっとと見に行くべし。