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7.17

『愛の残像』

暑い、ですね。でもさすがにこれを見逃すわけにはいかぬとひーこら宮益坂を頑張って登って、フィリップ・ガレル監督『愛の残像』になんとか辿り着く。
昨日の映画とは打って変わって(あ、でも今回もユダヤ人出てきてた)、青年と人妻がひょっこり恋に落ちた、ただ本当にそれだけの小さな話が美しいモノクロ画面で語られてるだけなんだけど、監督の力かプシャンスキーのカメラの力かローラ・スメットという恐ろしい女優の力か、ジャジャーン!と鳴り響くバイオリンじゃ物足りないくらい激しく怖く色っぽい愛の映画だった。始まってしばらくは、ちょっとカメラとふたりの距離が近いなと感じてしまったけど、だんだんとそれがこの映画にとっては正しい位置なんだと納得。 ふたりが初めて出会ってからやるまでの流れとか離れてしまうきっかけのわかりやすさ(ルイくんの間男っぷりと音楽のタイミングには笑ってしまったが)は本当に素っ気ないのに、フィルムのカメラと鏡だけで永遠に別れられない男女になってしまうマジック、すごい興奮した、が、最後の最後に鏡に映ってたのが何なのかはよくわからなかった…。悪魔?
しかしこのローラ・スメットという女優さんは、特に美人というわけでもいい体してるわけでもないのに、 フローリングに横たわってるだけで犯罪もののエロさ。なんなんだこれは。実生活でもジャンキーだった過去があるというだけあってラリった芝居の迫力も凄かった。ルイくんも相変わらず、今時こんなにシャツをインするスタイルが似合う青年もそうそういないだろう繊細さで、素敵でした。
そしてわたしゃ未だにフィルムとデジタルの撮影と上映の仕組みがよくわかってないんだけど、これはデジタルで上映されてるのか?もしそうならあの黒はフィルムで見たかったなあ。