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7.31

『だれもがクジラを愛してる。』

愛してるどころか海の人気者動物系全般(シャチとかイルカとか。テカり過ぎ)が本当に気持ち悪いとしか思えない私にとっては結構恐怖の対象でしかないんだけど、ドリュー・バリモアが主演と聞けばとついケン・クワピス監督『だれもがクジラを愛してる。』を見に行ってしまった。
88年のアラスカで三頭のクジラが氷海に閉じ込められたという小さなニュースが、携帯もツイッターもない時代だというのにあっというまに全米中に広がって、最終的には冷戦中のゴルバチョフとレーガンの会話シーンが登場する程世界中を巻き込んでの救出劇になる、という嘘みたいな話が実話だそうで、『ソウルサーファー』と同じく最後に実際の映像や写真が流れるんだけど、これまた映画そのまんまで、こんな凄い話いっそドキュメンタリーの方が面白いんじゃないのと思ってしまった。大統領秘書と大佐の結婚まで事実なのには笑った。
バリモア姐さんはクジラを愛し過ぎてちょっとうざいグリーンピース職員の役だけど、彼女以外で救出に関わる人たちがみんなそれぞれ自社のイメージアップだとか自分のキャリアだとか選挙に有利にだとかそれぞれ下心を持っていて、それは最終的に変わらないところが、日本の動物感動映画とは違うところだなと感心したし、捕鯨を伝統としてる原住民の描き方もお上手で、悪い映画ってわけじゃ全然ないけど、ただこの監督さん、前作の『そんな彼なら捨てちゃえば?』のときにも思ったけど、多分そもそも群像劇に向いてないんだと思う。ぞろぞろ登場するキャラクターをあまりにも均等に描き過ぎで(バリモア姐さんも特に主役ってわけでなく)、ひとつくらい突出したエピソードがあって欲しかったかな。お気に入りは妙に活躍する謎のふたり組(だけどそれすらも実際の写真があった…)。
しかしこの、クジラたちの見事な芝居のからくりはわからん。ほとんど出ずっぱりやったから全部CGってわけでもないだろうし、素直にびっくりした。めっちゃキモかったけど。