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8.03

『それでも、愛してる』

わからない、私には何故ジョディ・フォスターが16年ぶりの監督作にこの脚本を選んだのかがわからない、『それでも、愛してる』。なんか、凄い映画だった。
それなりに幸せな家庭と親から継いだ立派な会社があるけれど、かなり重度な鬱を患うメル・ギブソン演じる主人公が、ある日突然かわゆいビーバーちゃんのパペット人形を介してなら元気に他人とコミュニケーションを取れるようになり、そのおかげで最初は仕事も人間関係も順調になっていくのだけれど、さすがに、食事中もセックス中もTV出演中もビーバーとしてい続ける父親にいい加減にしろとブチ切れた家族は家を出、しまいにゃメルギブ兄さんはその人形に人格を乗っ取られそうになり(そのやりとりもずーっと人形と兄さんの独り芝居)、これじゃいかんと腹を括って人形との決別を決意、電動のこぎりでパペットをはめた腕を切り落とします。結果、パパはひとりじゃないんだよと美しい父と息子の物語みたいにまとまってましたが、どう考えても病み過ぎでしょ。
もちろんジョディ女史ですから、家族と家との見せ方とか、有り得ない人形とのやりとりとか大変お上手、一体何を伝えたかったのか今イチ分からない息子のエピソードもそう簡単には泣かせないって感じで、良い映画だとは思ったんですけど、ジョディさんのプライベートな背景と、メル・ギブソンというキャスティングなんかも含めアメリカの闇がでか過ぎて。監督が彼女のために脚本を書き換えたという程、やっぱりジェニファー・ローレンスはいい女優だった。

「映画芸術」を読んで、あそこまで言うなら逆に映画を見たくなったよと言う声がちらほら。宣伝のお役に立てたようでほんとよかった。