『クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち』
半年くらいは上映してんじゃないのと余裕かましてたら今週末で終了だと言うので慌ててフレデリック・ワイズマン監督最新作『クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち』 に駆けつけた。
フランスはパリにある伝統的なストリップ劇場「クレイジーホース」をいつもながらのワイズマンドキュメンタリーで、だけど、今回は舞台そのものの分量が多めなので今までの作品よりだいぶ派手でゴージャンスな印象。でも、そりゃここまで美しくて華やかで幻想的で完璧なストリップショーを見せられたらがっつり撮りたくもなるよねと納得のステージにただただうっとり、女性の肉体は偉大だ。本当に感動的な光と色のマジック、蜷川実花は是非見た方がいい。映画を見てるだけでも超楽しかったのに、いつか絶対に本物を見に行きたい(しかしこのストリップを見て男性がげへへーと喜べるのかは謎)。
次々登場する綺麗なダンサーたちは、ほぼTバック一枚(とルブタンのヒール)という衣装で計算され尽くした舞台と踊りを次々にこなす。あまりにも本格的にすごい舞台過ぎて、最後の赤い縄のヤツとかちょっと怖かった。でもそんなパーフェクトなダンサーたちの歌唱力はだいぶ残念なことも可愛らしく。映画史上ここまで生おっぱいとお尻が登場する作品もそうないんじゃないだろうか。ヒモパン一枚みたいな格好で楽屋をうろうろ、開脚を披露、下世話ながら、生理のときどうしてるんだろうと気になってしまいました。
その合間にもちろん、総合演出家である頑固な芸術家フィリップ・ドゥクフレと、株主や経営のことを考える支配人との渋いやりとりや、スタッフたちの細かい仕事、新しいダンサーを選ぶ結構えげつないオーディションの様子が挟まれ、ただのクレイジーホース宣伝映画じゃないのは当たり前。美術監督、癌っぽいよね。今回初めてデジタルカメラで撮影されたとのことだけど、個人的にはあんまり気にならなかったです。