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9.14

『テイク・ディス・ワルツ』

サラ・ポーリー監督『テイク・ディス・ワルツ』 を見たんですけどね、私とタメの普段は美人女優でもあるこの監督のデビュー作も見てるんですけどね、確実に彼女病んでますよね。なんで普通なら一生目を逸らしていたい男女の一番痛い部分をここまで執拗に描くのか。
結婚五年目の若夫婦、特に不満があるわけではないけどトイレ中の姿を見られてもなんとも思わなくなる程慣れきってる間柄、そんなとき妻がうっかり旅先で出会ったちょっといい男が実はご近所さんで、そいつがうっかり実はアーティストで本当の自分のことをわかってくれそうで。そこに流れる、うっかりオシャレな音楽、めちゃくちゃガーリーでラブリーなインテリアや衣装、こっそり深夜に忍び込むプール、爆音の遊園地、そんな胸キュンアイテムに騙されたらラストで思いっきり火傷するホラー映画。うっかりカップルで見に行ったりした日にゃ絶対にどちらかが死にたくなるので止めといた方がいいですよ。女性映画なんて言葉は趣味じゃないけど、ここまで誰にも幻想を抱かせない恋愛映画を撮れるのは、やっぱり女だからなのかなあと唸らされた。カナダ人恐るべし。
と、皆までは言わないけれどハードな脚本に対して、演出はあくまで正当で、若夫婦の何気ない日常、もの凄い年齢層の女たちの全裸のシャワーシーン、窓越しの音楽など色々良かった(ただし最後のワルツは実際に相当ハード)。野暮ったいのに色っぽい主演のミシェル・ウィリアムズも素晴らしく、あと数年歳をとってれば別の結論もあっただろうけど三十路前の迷える子羊感がなんかもう。もちろん私は懲りないアル中の親戚のおばさんでいいです。くわばらくわばら。