BLOG

9.15

『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』

と、怖い映画を見た後は少しでも明るい気分になりたくて、ラリー・チャールズ監督『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』 をチョイス、連休の初日にこんなもん見に来る物好きもそういないだろうと開演ギリギリに行ってみたら9割以上の客入りでびっくりしてしまった。みんな大好きサシャ・バロン・コーエンなのね、素敵です。今年のアカデミー賞授賞式で「金正日の遺灰だ」と言ってレッドカーペットに小麦粉をまき散らして怒られた姿もかっこよかったし。
前二作のようなある種ドキュメンタリーでもあるような突撃系コメディからは一転、今回の主人公は、中東にあるらしいワディヤ共和国の独裁者アラジーン将軍というフィクショナル(?)な主人公、核兵器はばんばん開発、気に入らないヤツは即処刑、コールガールはハリウッドセレブ、とやりたい放題の将軍さまが国連サミットに参加するため向かったニューヨークで、石油の利権を狙う側近の陰謀により影武者と入れ替えられて完全にただの浮浪者みたくなってしまう…、というバカバカしい内容に下品な下ネタやどーでもいい下らないやりとりによってバカバカしさは一層倍増、本気で涙流す程笑った。めちゃくちゃ面白かった、アラジーン様万歳。義足の少年ランナーとオナニーする男とのモンタージュが大変映画的で素晴らしかったです。出産シーンでの旦那のワンカットにもどきっとさせられましたよ。どうしようもない中国人とかも最高。
もちろん、実はケンブリッジ大卒のコーエンですから、どんなにえげつないことをやっていようとも映画全体に漲る現代のあらゆるものに対する批評精神(まあ、チャップリンか)、無理矢理過ぎるのになんか可愛らしいラブロマンスな展開にはただただ感心、確実にただの馬鹿じゃないのは当たり前だし、観賞後当然購入したパンフレットによると芝居の9割がアドリブだそうで、そんなことを成立させられる周りの役者やスタッフも相当頭のキレる人たちじゃないと不可能だろうと羨ましい気持ちにすら。こんな作品に本人役として登場したミーガン・フォックスちゃんとエドワート・ノートンの株は上がるばかり。
周りのお客さんもさすがのノリの良さで、場内は80分間爆笑の嵐。帰りにそのままみんなで飲みに行きたいくらいだった。