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10.15

『これは映画ではない』

確かこれも先週のどこかで見たはず、ジャファール・パナヒ、モジタバ・ミルタマスブ監督『これは映画ではない』
反体制活動により「20年間の映画製作禁止」となった映画監督ジャファール・パナヒ監督が、デジカメとiPhone片手に自ら自宅に軟禁されてる姿を映した「記録」映像。イランの映画事情も含め大変興味深い内容、とか言いながらパナヒ監督の作品はひとつも見たことのない私だったりするんですが…。それでも、これはこれで十分面白かった。
自分の量刑に関して弁護士と電話でやりとりするような真剣な姿の横で、のんびりとペットのイグアナが部屋の中を歩き回っていたり、新作の構成を熱く語るあまり絨毯にテープを貼って『ドッグヴィル』ばりに映画の舞台を作ってみたりする姿は、 深刻な事態なはずなのになんか笑えて、でもえらくかっこいいラストシーンも含め、このタイトルと「映画」に対する監督さんの大変冴えたユーモアセンスが感動的。
一日部屋の中に籠ってても、無理矢理バカ犬を預けようとするご近所さん、窓の外で打ち上がる花火、テレビから流れる東日本大震災のニュース映像、しょっちゅう鳴り響くiPhoneの着信音、いくら政府に出国を禁止されてたって十分世界は広いんだなあ、と感心したと同時に、監督の自宅の広さにも驚いた。置いてある食器や家具も調高級っぽくて、イランの映画監督ってあんな裕福な生活できるもんなの…??あと、なんでキアロスタミはあんな酷い映画を作ってるのに捕まらないのだ…???