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10.20

『夢売るふたり』

昨日、渋谷でひとり映画でも、の前に一服、と路上の喫煙所に立ち寄ったらそこでばったり姉たちと遭遇、やあやあ久しぶりまあせっかくだからとそのまま目の前のVIRONに入りうっかりワインを数本空けてしまったので映画はおあずけに。五人も姉妹がいるとこんなこともあるもんかね。

なので西川美和監督『夢売るふたり』を見たのは数日前のことなのだが、見た直後も、それから時間が経った今も、どうにもこの映画のことがさっぱりわからずじまいで、困った。夫婦揃って結婚詐欺の物語と聞いてまさかの『ハネムーンキラーズ』かと興奮してしまったのは私の想像力が過多だったとしても、この夫婦ふたりの倫理観の拠り所というか、何を信じて、何を良しとして悪しとしているのかが最後までよくわからなくて。
一見大した悩みもなさそうな女たちを騙すことにはなんの躊躇いもなく、重量挙げ選手のような容姿の冴えない女の子や苦労してるっぽい風俗嬢には中途半端に良心が傷んで、というわかりやすさには「またか…」とうんざり、まではよくある話だけど、それ以上の、結局この夫婦がここまで一緒に詐欺を繰り返すその理由が、他人を貶めてでも自分たちの幸せのためには犯罪だって犯すんだという強い愛なのか、ただの虚栄心なのか、幸せそうなやつらへの仕返しなのか、本当にお金だけなのか、それがわからないから映画自体も何をほんとに行き当たりばったりで進んでるようにしか感じられなくて。結局こいつらは何がしたかったの?この妻は他人に乗っかってばかりの人生をマグロ漁港でどうにかできたの?全然わからないのに、ざっくり「女ってどうしようもない生き物だよね…」みたいに締められても、いやいや一緒にしないでよ、と言いたくなってしまった。一体何がやりたかったのか、原作小説読んだ方が早いのかな。
あと、日本映画だからって自転車走らせまくってもそない簡単に感動しないよと思った。(あと、本当にどうでもいいことだけど、松たか子が家でひとり悶えてるシーン、あれって腹痛の演技の練習してるのかオナニーしてるのか、どっち…?)女性映画ねええええ。柳島克己の撮影は今回も素晴らしかったです。