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11.21

『チキンとプラム あるバイオリン弾き、最後の夢』

ただマチューの最新作を見たいってだけで見てみたら、『ペルセポリス』の人の最新作でもあったんですね、マルジャン・サトラビ&ヴァンサン・パロノー監督『チキンとプラム あるバイオリン弾き、最後の夢』 。これも原作はコミックだそうな。
なので今回も、1900年初頭のテヘランを舞台に、とっても可愛らしくセンスのいいCGやアニメーションがたくさん使われ、幻想的でロマンチックな世界はとても魅力的で愛らしい、けれど、内容は、大切なバイオリンを失い人生に絶望した主人公が8日後には自殺して絶対に死ぬことがわかってることからのスタート(今までの人生を回想するというストーリー)、彼の幼い子どもたちもその後大して幸福な人生は送れないことは早々に描かれ、素直になれない妻の愛が夫に伝わることも一生なく、人生で一度の恋を成就できなかった男女にとってはこれ以上ないくらいのアンハッピーエンド、と、だいぶブルーなことになってました…。最近の女性監督は病みがちなのかね…。これがイランの政治的背景の隠喩だったとしても、相当きついアラビアンナイト。足から始まる恋、かなり謎なバイオリンの先生、魂と化すタバコの煙、とてもいい映画だとは思いましたけど(でも、チキンとプラム、ほとんど登場しなくね?)。
相変わらず神経質そうで落ち着きのないマチューは大変素敵だったし、イザベラ・ロッセリーニもさすがのかっこよさだし、久しぶりに見たマリア・デ・メディロスの変貌っぷりに驚いたりしたんだけど、初めてちゃんと見たゴルシフテ・ファラハニというハセジュン似の女優さんの美しさに思いっきりやられた。最後の涙には涙。