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11.28

『北のカナリアたち』

本日もようやく、阪本順治監督『北のカナリアたち』を見た。
木村大作先生撮影の元、吹雪舞いまくる北海道の壮大な大地を舞台に豪華な俳優陣たちが熱い芝居を魅せる!けど、内容的には同じ原作者の『贖罪』キョン2いい人バージョンって感じ。えー罪ってそんなぬるいもんなのーと今回も突っ込まずにはいられませんでした。
他にも幾つか突っ込みたいポイントはあったけれど、とりあえず、ヒロインがあまりにもわかりやすく従順過ぎて、普段は心優しい完璧な女教師、好きな男に会いに行くのも父親に止められれば素直に従い、旦那に許可されれば素直に従い、最後の最後まで大切な生徒なら殺人者であっても許してくれるマリア様、だから散々引っぱった挙げ句のミステリー(?)のオチにもなんの驚きも感じられず、いくら吉永小百合様が主演だとは言えだからって昭和演歌みたいな世界でいいってわけでもないだろうにとちょっと呆れてしまった。これだから男の描く女性像は!とぷりぷりしてたら、原案者も脚本家も女性だったとさ。
でもそんな女を演じる吉永小百合は、柴田恭平と仲村トオルというまさかの夢の「あぶデカ」コンビの間で揺れる女性として、確かに67歳とは思えぬ美しさと体力を披露していて、今更ながらすごい人かもと思ってしまった(でもさあ、まさかあのラストの別れはこれのパロディじゃないよね……。周りは号泣してたのにひとりで噴き出してしまった)。そして登場する人物がとにかくトラウマ抱えまくりで最終的にライオンでも出てくるんですかと聞きたくなる中、ひとり飄々と普通の若者を演じる松田龍平はやっぱりすごく良かった。あと、あのどもりの子役は泣けた。
とか愚痴愚痴言いながらも、元合唱部としては久しぶりに「あの青い空のように」が聴けただけでちょっと満足だったりしたんですけどね。とにかく、阪本監督の『カメレオン2』が見たいです。

終映後入った女子トイレでバリバリのギャルふたり組が感想を話していて、へーこんな娘さんたちがこんな映画をと興味を持って聞き耳を立てていたら、どうやらロケ地となった場所が思いっきり地元らしく、「あそこでバーベキューやるなんて道具持っていくだけで大変過ぎて死ぬし!」と爆笑していて、笑った。