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12.09

『その夜の侍』

日本のホアキン・フェニックス、と勝手に思ってる山田孝之が出てるからという理由と情報しか持たずに赤堀雅秋監督『その夜の侍』 を見てみたら、他にも大好きな綾野剛や新井浩文も出演してて、確かにその三人が揃う夜の林でのシーンは中々見応えがあって悪くなく、何がいいのかさっぱりわからない主演の堺雅人も今回はずっと牛乳瓶の底メガネをかけて正体不明になっていたのでそこまで苦痛でもなく、ダメな映画だとは思わなかったんだけど、小劇場系の演出に有りがち(と思いっきり勝手に思ってる)な、何気ないセリフやちょっとした小細工に漂う「おもしろいことやってるでしょ感」が鼻についてしまったのがだいぶ残念。余計なことせずもっと普通でいいのに。主人公の独白とかこのラストとか、スカスカで全然面白くないのに何が言いたいのか、プッチンプリンの無駄遣いはよくありません。
5年前に妻をひき逃げされた主人公と、服役はしたけれど人を殺すことになんの罪悪感も感じていない犯人が、日常の中で他の人も巻き込みながら最後嵐の中で対峙するストーリーが、山田孝之のチャラいモンスターっぷりだけで結構強引に進んでいって、その異様さには説得力があってすごく良かった。だから中途半端に「人はみんな孤独だけど生きていく…」みたいなどうでもいいテーマを語るための谷村美月がダサ過ぎてがっかり。ラブホテルで綾香を唄うホテトル嬢はちょっと面白かったけど。119分、長い。
見ながら、なんか不思議な撮影だなあと思っていたら、月永雄太氏によるスーパー16ミリでした。