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12.17

ホンさん

「韓国のゴダール」とか「エリック・ロメールの弟子」ってつまりはろくでなしってことなんじゃないのと思いつつも、実はせっせと「ホン・サンス/恋愛についての4つの考察」 に通い、今回上映された『よく知りもしないくせに』(09年、個人的に一番好きかも)『次の朝は他人』(11年、ホンさんの映画は寒そうな街がよく似合う)『教授とわたし、そして映画』(10年、いやあこれは…!)『ハハハ』(10年、母親役の女優、大楠道代に似過ぎじゃないか)は制覇したのだった(今日は珍しく劇場に知り合いが多いなと思ったらシネマートさんは月曜メンズデーだったのね)。
何を見ても、ほんとに頭を抱えてしまうくらい面白いのに、でも何を見ても、毎度安っぽいクレジットの文字と共にデジタル全開の一見ぺらぺらだけどそんなわけはなくどこまで完璧に計算されているのかまったく読めない(ひとつのシーンに60テイクくらい重ねるんだってね)画面の中で、うだつの上がらない映画監督(兼大学講師)が昼間っから酒を呑みながら手持ち無沙汰に街をぶらぶらしてちょと気に入った女を口説いて白々しい愛のセリフを囁いて、女はむちむちの二の腕を曝しながらそんな男たちを振り回してるだけで、一作見終わる度に「どうせ次も同じような映画だろう」と呆れ果てながら、また見てしまう。映画に出てくる、ろくでなしでどうしようもないけどなんか気になる、まあ酔った勢いでホテル行ったこともあるけど特別すごいってわけでもないし何か奢ってくれるわけでもないし基本的にはどうでもいいわと思ってる男なのに電話がかかってくるとつい会ってしまうような、映画自体がそんな男のような。ねえ。観客であり女である私は見終わる度いつも結構本気でぐったりする、と判ってても見てしまう。結局は観賞後呑んだくれてしまうセヨ。
この魅力(男じゃなくて映画のね)の謎について未だ「それだ!」と納得できるような文章を読んだことがない、誰か書いてー。