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『舟を編む』

親切な御方のご招待により、4月13日(土曜)より公開予定の石井裕也監督『舟を編む』を一足お先に試写で、35ミリフィルム撮影を35ミリ上映で拝見させて頂きました。
こっそり白状すると今回が石井監督初体験(ついでに言うと三浦しをん氏の小説も読んだことない…)でして、実はまったく期待せずに見てみたんだけど(ごめん)、これが、完全に私の予想を裏切る、えらく素敵な作品でして、本当に驚いてしまった。おすすめ。
とある出版社の、会社内でも目立たない辞書編集部で新しい辞書作りに没頭する人たち、昨日のドキュメンタリーに続き今日は、へー辞書ってこんな風に作られるんだとお勉強になりつつ、その地味な仕事っぷりに驚きつつ。映画自体も、「言葉」を通して様々なものを受け継ぎながら成長していく男の子の物語ではあるけれど、基本的にはマジメな主人公がマジメに辞書作りと格闘してるだけっちゃだけの話で、特に大きな事件が起こるわけでもなく、丁寧に仕事する男と丁寧に料理する板前修業中の女に流れる時間が丁寧に流れる、と思ったら一瞬で十年以上の月日が経ったりするんだけど、時代は変わってもその間もこのふたりはずっと同じように真剣に生きてたんだろうなあと感じられて、なんか感動。この地味さで2時間13分退屈しないのはすごい。編集者として十年以上かけてひとつの仕事を完成させるこの主人公も相当な幸せ者だと思うけど、29歳でこんな映画をフィルムで作り上げるって、監督さんも相当幸福で贅沢なんじゃなかろうか。
豪華なキャスト陣もみんな素晴らしかったけど、やっぱり、やり過ぎなくらいのオタクキャラでも上手くかっこよく見えてしまう龍平マジックに今回もやられた。本気でかっこええ。そしてファンの方には失礼な話ですが、ほんと久しぶりに宮崎あおいをいいなと思えましたよ(しかしあの猫は太り過ぎじゃないか)。