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1.27

『ベルヴィル・トーキョー』

親切な御方のご招待により、3月よりイメージフォーラムさんで特集予定の「フレンチ・フィーメイル・ニューウェーブ」の中の一本、エリース・ジラール監督『ベルヴィル・トーキョー』を一足お先に試写で拝見させて頂きました。
私とほぼ同世代の女性監督で、プロフィールを読み限りガッチガチのシネフィルさんが撮った長編第一作、撮影はレナート・ベルタ、冒頭から夜のパリをひとりで歩く若者、身投げしようとセーヌ川を眺める主人公、思わず「マルト!マルト!」と叫びたくなりそうな世界かと思いきや、主演夫婦の男は、「愛してるけど、恋じゃない」と一方的に妊娠中の妻に別れを告げたくせに「やっぱり愛してる」とか泣きついて復縁を求めながらもトーキョーに行くと噓をついてやっぱり他の女のところに行くうえ最終的には雪の中に妻を置き去りにする最低男で、しかもヤツの職業はうだつのあがらなそうな映画批評家で、映画自体の堅さと内容の下世話さのバランスがほんと絶妙、大変面白かったです。私、死んでも映画批評家なんかと結婚しないと決意も新たに出来ました(ベッドでゴロゴロしながらDVDを見てる旦那に向かって妻が一言「いい?甘えないで」と言った瞬間、試写室で隣の見知らぬ女性と大爆笑)。ユーモアのセンスも抜群で、妻の勤務先である映画館でうだうだしてる西部劇オヤジたちの可愛いこと。見ながらにやにやしてほしいし、 映画獣的にはほんとにいっぱいツボなネタが散りばめられてる、はず。 これはおすすめです。
こんなこと言っちゃあなんですけど、最近幾つか見た日本の若手女性監督とはなんかレベルが違うのよなあ。本質的に何がその原因なんだろう、とぐるぐる考えております。