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2.02

仏独

この数日は優雅に、ヨーロッパの古典(?)映画などを鑑賞し映画獣としてまっとうに過ごしておりました。
めちゃくちゃ久しぶりに日仏学院、じゃなくてアンスティチュ・フランセ東京で開催中の第16回カイエ・デュ・シネマ週間 に足を運び、ジャン・グレミヨン監督『混血児ダイアナ』(31年)を同時通訳で見て、モノクロフィルムに映る豪華貨客船を舞台に展開される艶かしく怪しい仮面舞踏会、そこで展開される女の欲望と男の情念、えーっと最終的には黒魔術は恐ろしいってことでいいのかなと大いなる戸惑いを残したまま終わっていく世界、本来は90分の作品が無理矢理50分に切られてしまったという事情を考えると今イチ理解できなくても私は悪くないと思うしかない不思議な世界を堪能。美しかったです。
それに続いて見たラウル・ルイス監督『アルマ橋で目覚めた男』(85年)、見る前はフランス映画の字幕無しって結構きついかなと思ったけど、これは、例えフランス語が母国語であっても理解できる人間なんているはずないやろってくらいぶっ飛んだ映画で、逆に単純に楽しめた。登場する男と女たちの誰が生きてて誰が亡霊でどこが現実で何が妄想でもあやふや、突然カラーになったりモノクロになったりする意味もわかるようなわからんような。久しぶりに映画を見てラリってるような感覚、楽しかったです。
で、実は初訪問のドイツ文化センターさんにては満員御礼の中、待望のライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督『あやつり糸の世界』(73年)第一部&第二部をまとめて鑑賞。 どんな映画(TVドラマとして作られた作品だそうだが)かまったく知らずに見てみて、内容的にはああ『マトリックス』ってことかと一応は納得できた、が、ファスビンダー唯一のSF映画と言われても、登場人物がみんな死んだ魚のような目をしているのはいつものファスビンダー通りだし、派手な車や部屋のインテリアがなんとなく近未来っぽいけどそれ以外は結構普通やし、主人公が突然ものすごい運動神経を披露したり、出てくる女たちがとりあえずパツキンで巨乳の激マブだったり、いきなり川に飛び込む車、いきなり爆発する山小屋、めちゃくちゃかっこいんだけどどこまで本気なのかふざけてるのかとおろおろしてる間にあっという間に200分は過ぎて行った。めちゃくちゃ面白かったです。色々名言続出で、笑えるところもいっぱいあったんだけど、さすがに薄暗いナイトクラブでナチス映画を見てるシーンは怖かった。私もいつか、ヴァーチャルな世界の中でいいから「お前は俺のど真ん中だ」って口説かれてみたいです。