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2.06

『あれから』

もう数日前のことなのだが、3月9日(土曜)よりオーディトリウム渋谷さんで公開予定の篠崎誠監督『あれから』 を試写で拝見したのだった。
はっきりと文字や言葉で説明されるわけではないけど、3月11日の東日本大震災当日から映画は始まり、実家のある被災地にいる男と東京でごく普通に日常を送っていた女のカップルの、地震のせいなのか元々そうなのか、不安定な関係が更に揺らいでしまった、しかしゆらゆら余震が残る中で苦しんだり辛い思いをしながらもこの世界でふたり生きていく、とても美しい映画でした。いわゆる「震災映画」という類いのものはほとんど見てないんだけれど、この映画はそういう簡単なくくりにできるものでもなく、でも地震の後の「あれから」にしか撮り得なかった作品だろうと思った(被災者に自殺させるような映画を撮る馬鹿が見るといいのに)。そのまま「おかえり」と言える場所があるのかないのか(こちらは3月16日からリバイバル上映だそうなので、未見の方は是非)。
マンションの一室で、主人公が泣きながらそこにいるのかいないのかすら定かではない恋人と対峙するシーンはやっぱり圧巻で、ヒロイン演じる竹厚綾さんも素晴らしかったが、 改めて山田達也氏のカメラがすごいなとも思ったし、基本的には静かな映画だけど細かい音が爆音仕様なのかってくらいがんがんくるのもかっこよく、これは是非劇場で見てほしいです。