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2.17

『親密さ』

オーディトリウム渋谷さんで開催中の「演劇」と映画館の『親密さ』 特集にて、ようやく念願の濱口竜介監督『親密さ』(12年)を見ることに成功。日曜の午後にほぼ満席でございました。
何故今まで鑑賞の機会に恵まれなかったかと言うと、色んなところから傑作だという噂を耳にしても、単にほんとに「そうか…、4時間15分か…。」と勝手に気圧されてしまってただけで、今回も果たして無事最後まで見届けることができるのかと不安を抱えたまま見始めたのですが、結果的には4時間以上も映画館の椅子に座りっぱなしだった疲れを感じることは一切ない、むしろこの映画にはこの時間が必然だったんだなと思える、凄い作品でした。一応途中休憩は有り。
前半は、どうやら劇団らしい男女の集団のやりとり、主に脚本家の男と演出家の女のカップルが、特にドラマチックな事件が起こるわけではないし、そんなにぶっ飛んだ話をしてるわけでもなく、ちょっと深刻っぽいけどまあこういうことも間々あるよねと思える時間(特に脚本家の男が結構クリエーター男子あるあるで何度か笑ってしまった)が過ぎ、後半は、その劇団の舞台の本番が、劇中劇って言うのか、完全にひとつのお芝居を見せられる。でもこれはもちろんただの舞台を撮った舞台ではなく映画として成立してて、でもその中で演劇を演じてる人たちはさっきまで前半の世界の中で練習中の俳優としても役を演じてて、わーって。そのふたつがひとつに繋がったような瞬間が何度かあって、思わずうるっとしてしまった。じゃあ今これを見て泣いてる自分も有りなんだよねと。
ただ、この映画は、オールナイトで朝まで見て、そんな不思議な感覚を持ったまま映画館を抜け出し夜が明けかけの街を電車に乗って帰るのが一番正しい鑑賞法だったかもしれない、という悔いは残る。夜か朝かわからなくてわーっとなる時間。このラストにはやられた。