3.18
『マーサ、あるいはマーシー・メイ』
どんな映画かまったく知らず、ただ主演がホットなイットガール代表オルセン姉妹の妹だというのでヤングセレブ好きとしては要チェック、ぐらいの軽い気持ちでジョーン・ダーキン監督『マーサ、あるいはマーシー・メイ』 を見に行ってみたら、予想以上に真面目な映画で驚いた。
一見平和なロハス生活を送る男女のコミュニティから脱走し音信不通だった姉の家に逃げ込んだ主人公、映画が進むにつれて実はかなりカルトでクレイジーな集団に洗脳されかけていたということが見えてくる、その過程をじっくりと地味に、でもどこからかじわじわと恐怖が伝わってくる不穏な画面に退屈はしない。ただ、せっかくここまでハラハラと引っぱっといて、最終的にトラウマが原因のパニック障害みたいなオチ(狙ってる意味は違うんだろうけど)はちょっと残念、脚本的にも演出的にももうひと捻りあってもよかったんじゃないかしらと思わなくもない。丁寧なカメラはとても良かったけど、思わせぶりが過ぎるだけに見えなくもなかった。『テイクシェルター』とか『SHAME』とか、何か起こりそうで起こらない系映画がアメリカでは流行ってるのかね。映画を撮る趣味は大変よさそうな監督なので次回作も見てみたいけど。
しかしなんだかやたらとよくできた映画に見えてしまうのは、主演のエリザベス・オルセンちゃんがとても良く、過去に怯えっぱなしの子どもみたいな表情とそれに反したグラマラス(巨乳)な体を惜しげなく披露する、姉の双子なんかより全然いい仕事をしていたからか。ジョン・ホークス(『ウィンターズ・ボーン』)も相変わらずよかった。でもやっぱり猫は殺しちゃダメ、絶対。