4.12
『ぼっちゃん』
秋葉原無差別殺傷事件をネタにしてるって時点でなんとなくイヤな予感はしてたんだけど、大森立嗣監督『ぼっちゃん』 はあまり好きになれなかった。大好きな前作『まほろ駅前多田便利軒』のコミカルさと、だいぶ苦手な前々作『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』のヘビーな雰囲気を合わせて二で割った感じ、なので全体的に中途半端にしか思えず。孤独だの友だちだの叫ばれても今イチ必死感が薄く、これじゃ「だからネットばっかりやってる若者は…」と年寄りに文句言われても仕方ないような。
犯人である若者が秋葉原で犯行に至るまでのデッドな日常を、思いっきり「青年の孤独な心の闇」としてがっつり描きたいのか、宇野祥平の存在でちょっと笑わせたいのか、いきなりノリが軽くなったと思ってもさらっとレイプされた女が殺されたりして全然笑えないし。それに、あくまでこの犯人が特別頭がおかしかったわけでなく、普通の若者で、そんな人間があんな事件を起こしてしまったと言いたいにしては、明らかにちょっと変な人間に描いてるよね。
この、確かにこんな場所で生活して単純労働してたら絶対頭おかしくなるよなあと思えるロケーションと、大友良英のわけわかんない音楽はいいなと思いました。