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8.06

『フィギュアなあなた』

暑さのせいでボケた頭で、これを見たのが何日前だったのかもまともに思い出せない石井隆監督『フィギュアなあなた』 だけど、映画自体も、熱にやられた頭のせいか、ふわふわと不思議な感覚に襲われる、変わった作品だった。こんなワイヤーアクション映画だとは。
冴えないオタク青年が謎の場所で謎のフィギュア人形に出会い、まるで人間のように完璧な彼女との夢のような生活をする、ってだけで、特にわかりやすいお話があるわけでもなく、これが男が一度は夢見るエロファンタジーってやつなのかしらと思いながら微妙な気持ちで見てたけど、やっぱり夜の廃墟に降りしきる雨とか恐ろし過ぎるヤクザのやりとりとか(おなべのヤクザってかなり新鮮だった)は相変わらずぞくぞくするかっこよさで、痺れた。ただちょっと、ストーリーがほとんどないだけにひとつひとつのシーンが長過ぎて、さすがに人形と出会ったときの執拗な描写には「もういいよ…」と思ってしまったりもしてしまいました。映画自体ももうちょっと短くてよかったかな。しかし、リストラされたダメ男演じる柄本佑くんは素晴らしかった。
でもやっぱり、ノーパンでバレリーナの衣装を着せられたうえワイヤーで吊るされて下から撮られる、なんて、女優って本当に大変な仕事だなと感心した佐々木心音クン、可愛らしい外見に意外と低くて渋い声が魅力的、映画初出演でこんなけ頑張ってるんだからいっぱい褒められてあげてほしい。