『ペーパーボーイ 真夏の引力』
ハリウッドの爽やか代表みたいなザック・エフロンくんが主演って言うからアッパーで軽い作品を期待して見に行ったのに、裏切られっぷりが半端なかったリー・ダニエルズ監督『ペーパーボーイ 真夏の引力』、これでもかってくらい病みに病んだ映画だった…。これはこれで面白かったからいいんだけど、観賞後の疲労感は要覚悟。ザックくんの童貞感が素晴らしい白ブリーフだけが救いでした。
1969年フロリダの小さな町で起こった殺人事件を調べるため、母親に捨てられた新聞記者の兄と泳げない水泳選手の弟という兄弟がひと夏かけて色々調べたり巻き込まれたりするんだけど、60年代のファッション、オシャレな音楽、淡い初恋、に紛れて、次々と起こることが淡々と狂ってる。その露悪的じゃない見せ方が、逆にやっぱアメリカ怖えーなと震えさせられた。結局何だったんだあのジャングルの一族は…。でも黒人メイドと白人青年のやりとりは普通に感動的だったりもして。
アメリカの闇を一心に背負ったみたいなマシュー・マコノヒーのキャラクターと芝居がとにかく凄くて、やっぱり絶対この人ちょっと頭おかしいと再確認。最終的に眼帯してました。そして、いつの間にかジョン・キューザックがニコラス・ケイジ化してました。
で、ニコール・キッドマン、死刑囚と婚約するようなイカれたビッチな役を、放尿やらエアフェラチオやら(さすがに笑った)びっくりするくらい激しいR指定表現で頑張っておられてとても良いとは思ったが、いかんせんあまりにもまだまだ完璧に美し過ぎて、田舎の40女の哀愁みたいなものがほとんど感じられず、若干ミスキャストかと。やたらと強調されるヒップラインも全然その辺のギャルよりイケてるし。男はみんなワンピースがお好きという私の仮説がこんなところで証明されるとは予想外だった。怖いわ。