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11.01

『人類資金』

M資金って言葉すらほとんど耳にしたことはなかったのですが、阪本順治監督『人類資金』 、その存在が囁かれ続けてる戦後日本を作り上げた闇資金、アメリカ中心の近代資本主義に対抗する日本の良心、それがヴィンセント・ギャロvs香取慎吾(思ったよりは悪くなかったけど)って時点で勝負はついてる気もするのだが、なんだかなあ。脚本がゆる過ぎて突っ込みどころが満載なので逆にいちいち指摘する気も起きないのですが、なんか、マッチョな世界を否定するべき話なのに映画自体が超マッチョになっちゃってて、意味ないやん、と。原作のせいってのが大きいとは思うけど、PDAを配ったら途上国の子どもたちの未来が開ける、誰も止める人いなかったのかな、その発想。舞台はロシアやタイやアメリカやと世界を股に掛けまくってるのに、映画自体が狭過ぎた。
最後の演説シーンは言わずもがな、冒頭からどうしても解せなかったのは、この佐藤浩市が何を理由に香取慎吾にここまで信頼を置くことになったかがどうしてもわからなかったこと。「世界を変えてみませんか…」の一言だったとしても、せめてそれがわかる演出を一カットでも入れて欲しかったか。もちろんかっこいいなと思うシーンも幾つかはあったのですが。善良な岸部一徳は新鮮でした。
私のここ数年の懸念事項である観月ありさの正しい活用法についても、今回はさほど成功してない気が。誰か彼女をなんとかしてあげてー。

10月30日発売「映画芸術」風立ちぬ大批判号にて、映画『風立ちぬ』について明らかに雑誌の主旨に沿わない、的外れなことをひとりでぐだぐだ書いてます。よければご一読をー。