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11.22

「田舎刑事 まぼろしの特攻隊」

なので、まったく不勉強の私は森﨑東監督の映画のみならずドラマ作品もほとんど見たことがなくて、今回の「森﨑東と十人の女たち」特集で初めて「田舎刑事(デカ)まぼろしの特攻隊」(79年)を拝見したんですけどね(「離婚・恐婚・連婚」は辛うじて二年前アテネフランセで見てた。実は今回も見たけど)、これがまた、身震いするほど重く深く濃ゆい二時間ドラマで、辛うじて私が生まれた年に放送されてるけど、こんなもん子どものときにテレビで見たら一生トラウマになるやろなと、34年後に見たことがむしろ幸運やったなと思うほどで(偶然にも物語は戦後34年後のお話だった)。
渥美清演じる刑事が身元不明の女学生殺人事件の捜査に関わったことをきっかけに、元特攻隊として哀しい歴史を抱える犯人や、その人物を巡る男と女のドラマが淡々と展開されるんだけど、まず特攻もののブルーフィルムってだけでかなりの衝撃だし、今まで黄門さまのイメージしかない西村晃の、実はご自身も特攻隊だったという歴史を感じずにはいられない気迫ありまくりの芝居にとにかく圧倒されて。もちろん寅さんじゃない渥美清もやっぱりすごく良くて、「日本中にマリアはいたんだ…」の台詞には涙。そしてラストのこのふたりのやりとりがまた凄まじい迫力。海辺の沖縄娘も泣けるのよー。
これまた多分ソフト化されてない作品だろうけどそれはもったいないなあ。

上映後は、山根貞男×上野昂志×藤井仁子氏による「森﨑東の戦後」をテーマにしたトークを拝聴。監督のお兄さんをまつわる話から黒木太郎に繋がる世界からの色々、初めて知った鶴田浩二のあれこれなど、予想以上に面白く勉強になるお話であった。
がしかし、本日一番衝撃的に学習になったのは、おじさまたち元気過ぎってことでしょうか。打ち上げで太陽見るまで呑むなんて久しぶりで、大変楽しゅうございました。