BLOG

11.25

『恋するリベラーチェ』

マット・デイモンがオカマ役と聞けば見逃すわけにはいかぬとスティーヴン・ソダーバーグ監督最新作『恋するリベラーチェ』になんとか駆け込む。
で、ソダーバーグさんは相変わらず無駄に豪華なキャストを使って地味な映画を撮りたいらしく、一見ゲイカップルのスキャンダラスな作品のようででも、 70年代を舞台に美容整形が過ぎて森進一化したマイケル・ダグラス演じるスーパースターとマット演じる田舎の純朴な青年が恋に落ちる格差ものラブストーリーがハッピーエンドなわけがなく、しばらくは幸せ絶頂の蜜月期だけどだんだんと亀裂が生じて最終的にはカネとクスリを巡って泥沼に、ってことは簡単に想像がつくし、相変わらず演出も何か凝ったことをするわけでもなくひたすら淡々とこのカップルの様子を映してるだけにしか見えない、けどやっぱり面白い。わかりやすい盛り上がりがないだけじゃなく、ふたりがソファに寝転がってテレビを見ながらポップコーンを食べてるだらしないし特に面白くもない姿と、整形手術のかなりグロい映像が、同じもののようにあっさり並んでて。
それはそれでだいぶ好きだし、このまま静かに終わっていくのも全然有りかと思ったら、がしかし。突然、思いっきり愛に満ちた幻想的なラストが訪れ、あまりの不意打ちと感動的な映像に、思わず隣の見知らぬ女性と一緒にガン泣き。まさかソダーバーグの映画に泣かされるとは思ってなかったけど、これは。今作で監督引退を宣言してるのは惜しいけど、でもこんな映画を最後にできるのは幸せなことなのかもなとも思う。
カツラを取った波平状態のマイケル・ダグラスを見てるだけでもちょっと泣きそうになったりもした。最近はすっかりマッチョな野郎のイメージだったマットがちゃんと美青年に見えるのはさすが、スパンコールで光るビキニ姿が素敵でした。女性は、ほんと母親以外一切出てきません(メイドがチラチラ映るくらい)。リベラーチェが実在の人物だと、鑑賞後に知る。