BLOG

11.29

『女っ気なし』

都内での上映は終了してしまいましたが、ギヨーム・ブラック監督『女っ気なし』(11年)&『遭難者』(09年、25分の短編)は、周囲にやたら勧められるのも納得の面白さでございました。印象としては、爽やかでロマンチックなホン・サンスって感じ。
フランス北部の小さな港町を舞台に、その場所で地味に生活している、どっからどう見てもフランスの中原昌也としか言い様のない(着てる服とか歩き方とか全部。茶色のパーカーにベン・スティラーのTシャツなんてもしかして意識してんじゃないのとすら思えるほど)彼女も大した趣味もない主人公シルヴァン、「女っ気なし」とか言いながら、冒頭のカットはパリからバカンスにやってきたマブい母娘と彼のやりとり(本業は不動産屋、なのか?)で始まり、そのあとも色々その母娘の世話をするけれど、やがてあっさりバカンスが終わっていったってだけの話。でも一切退屈しないのは、時々場内でも爆笑が起こってたほどどんくさいのに憎めないファニーな主人公のキャラクターと、もちろん軽やかな映画を装いながら思いっきり考えて作られてるからなんだろうけど、それがそこまで嫌味でもなく。パン屋のおばあちゃんとお茶してるシーンがすごく素敵。でもあの母親の微妙なだらしなさの絶妙な上手さから、多分女に怨みがある監督さん(私とふたつ違い)なんだろうなとは思った。
の前に上映されてた、同じ町と主人公で語られる『遭難者』は、主人公の人がいいんだかうざいんだかわからない行動がだいぶ笑えるんだけど、やっぱり町に突然現れたパリからの「遭難者」が一晩で帰っていくだけのお話、でも面白い。でもこんなやつ身近におったらだいぶ面倒だなとは思った。
次回作は同じ俳優さん(ヴァンサン・マケーニュ)で長編作品とのことで、だいぶ楽しみ。