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1.11

『セッションズ』

久しぶりにこういうこじんまりといい映画を見た気がする、ベン・リューイン監督『セッションズ』。地味にオススメ。
実話が元になっているというお話、6歳の頃にポリオに罹りそれ以来首から下の身体が完全にマヒ、一日の大半を鉄の呼吸器の中で生きる男性が38歳で童貞喪失を決意、それまでオナニーもしたことのない主人公は結構あっさり素敵なセックスセラピストと出会い、サクサク「では来週は挿入に挑戦しましょう!」と英会話のレッスンみたいにセッションは進んでいく。でもやっぱり、初めて肌を触れあった女性に対し、セラピー以上の感情を持ち出してしまう主人公とセラピストとの関係、でもそれだけでもないふたりの関係が、人間臭く愛に満ちてて感動的。障害者の性、と言いがちな問題が、ちゃんと人間の性になれているとでも言うか。その間、彼を応援する障害者の黒人の友だちや中国人のヘルパー、複雑な気持ちで見守る神父なんかも良し。実は、どんな有名な作家の作品でも未だに詩の魅力を理解しきれてない私ですが、この映画の中での使われ方は素敵だなと思った。特にラストの女ふたりが切り返すところ。
しかしとにかく、このセックスセラピストを演じる、若いおねえちゃんでもなんでもないヘレン・ハントがほんとに素敵。あっけないくらいぱっぱと全裸になって中年の肉体を披露、かっこいいおばちゃんやなあとほれぼれしました(この全裸のせいなのかもしれないけど、この映画が日本でR18って、絶望的)。
80年代でも障害者でも、童貞男はセックスマニュアルを素直に信じてしまうものなのかと笑えた。