1.20
『ハンナ・アーレント』
十代のバカな若者に負けず劣らず、ハイデガーの愛人、というゲスい知識しか持たず、マルガレーテ・フォン・トロッタ監督『ハンナ・アーレント』 を見てみた。なので、ハンナ女史についてのあれこれは映画を見てイチからお勉強。確かに、収容所を体験したユダヤ人哲学者がアイヒマン裁判の傍聴記事を書いて色々問題になった、という堅い内容ではあるものの、もっとガチガチの政治映画をイメージしてたのとはだいぶ違って、意外とハンナのガールズトークも楽しめたりする、かっこいい女性映画であった(ハンナ自身も、演じてる女性も、そして監督のビジュアルも、めちゃくちゃかっこいい)。岩波ホール派のおばさまたちに受けるのも納得。でも、映画全体に漂う緊張感は半端なくて、最後の演説シーンは教壇で話してるだけなのに手に汗握った。「悪の凡庸さ」、つまりはヒトラーに心酔したナチも凄い哲学者に惚れた若い女も同じようなものだった、って解釈でいいんでしょうか(夫にまとわりつく女は公認の愛人でいいの… ?)。
時代もあるだろうけどとにかく出てくる人がみんなタバコを吸う吸う、ハンナもかなりのヘビースモーカー。大変結構なことだが吸いながらすぐに横になるもんだから、灰落ちるんじゃないかしらとハラハラしながら見てた。