1.22
『ドラッグ・ウォー 毒戦』
ふざけてんのか、ってくらい簡単で適当な筋書きなのに面白いからすごい、ジョニー・トー監督『ドラッグ・ウォー 毒戦』 。
どうやら凄腕麻薬捜査館らしいポーカーフェイス(その理由は後にわかるんだけど)の主人公、ほんの偶然から大規模麻薬組織の一員を逮捕、そいつのたれ込みによってあれよあれよと大物を捕まえたり裏切られたり。映画が始まって30分以上はとにかく地味、冒頭からゲロとうんこは出てくるけれど、会話らしい会話も期待してるような銃撃戦も全然起きず、淡々と車のヘッドライトだけで見せる、と思っていたら、いきなり超クールでかっちょいい銃さばきをおっぱじめるのが麻薬工場で働く聾唖の兄弟ってのが憎い(でも聾唖だから警察の侵入には気付けない)。
それからじわじわと広がり始める警察と組織の緊張感、もちろん大爆発のクライマックスは用意されていて、とりあえず、女の捜査官はぎゃーぎゃーうるさいからさっさと車で轢き殺し、男たちは車を駆使(ここまで車が自在に動くと『カーズ』みたいやなと思ってしまった…)、車がダメになったら銃で勝負、香港人もうちょっと銃弾大事にしろよと突っ込みたくなるくらい撃って撃って撃ちまくっての数分間。このためだけにこの映画を作ったんだろうなあと納得の迫力でございました。ここまでやるならいっそこのラストのオチはなくてもよかったんじゃないのとすら思ったけど、でもまあ十分満足。