前作『世界にひとつのプレイブック』には正直そこまで乗れなかったので今回もどうなんだろうと半信半疑で向かったテヴィット・O・ラッセル監督『アメリカン・ハッスル』 が、蓋を開けたらくらくらするほど面白く、見てから数日経った今も興奮冷めやらぬ。私にしては珍しく、公開中にもう一度は見る。
79年アメリカで実際にあった詐欺事件が元になっているらしい物語、セコい詐欺を繰り返しお金を稼いでいた不倫カップルが逮捕と引き換えにFBI捜査に協力することにしたものの、そのスケールのでかさと嘘に嘘を重ねる日々に耐えられなくなっていき……。これは多分、クリスチャン・ベイル演じるヅラでハゲを隠した妻がいるのに他の女に惚れるという、本人なのにニセモノみたいな詐欺師の主人公に年齢の近い男性が見たら堪えきれないものがあるのが普通なんだろうけど、私みたいに、愛用のMacにまで嘘つきであることを糾弾されるようなデタラメな人間にとっては本当に涙無しには見れませんでした。途中からベイルの一挙手一投足に泣いてました。市長に殴られるシーンでピークに嗚咽。
相変わらずエイミー・アダムスはめちゃくちゃよくて深過ぎるVネックが大人の貫禄でかっこいいし、お気に入りのジェニファー・ローレンスのむっちりしたビッチっぷりも中々、と役者がみんないいし音楽もすごくかっこいい、でも映画自体は結構地味で 、具体的に何がそこまで面白いのかと問われればはっきり応えるのが難しい映画な気もするんだけど、クリーニング屋のラブシーンとかクラブの女子トイレとか、いいのよなあ。70年代が舞台なのに明らかにダイアンフォンテンバーグのワンピースが出てきてたことくらいしかケチのつけどころがございません、はい。