3.15
『家族の灯り』
珍しく行列に並んで丸香のうどんを食したあと、私が生まれたときには既に70歳ってなんかおかしくないかと首を傾げながら、105歳を迎えられたマノエル・ド・オリヴェイラ監督『家族の灯り』を見に行ってみた。
冒頭のファーストカットから、絵画と思ったら動画だった!と衝撃を受け、そのあとも狭い室内を舞台に窓へ扉へと広がる芸術的な美しさにうっとり、ああこれは『東京物語』なのね、でもこの義父と娘の危うい関係は『晩春』か、と、わかったようなことを考えながら見ていたら、亡霊かと思ったら普通に存在してた息子が現れたあたりからどんどん話の雲行きは怪しくなり、それだけはやめてと願いながら迎えたラストでは思いっきりどん底に落とされ、撃沈。105歳のじいさんが考えてることを理解できる気になってた自分を多いに反省致しました。
これは役者さんたち自分が原因でNG出たりしたら死にたくなるやろうなと同情したくなるほどの長いセリフのワンカットの連続、ライブで演劇を見てる緊張感と似たものを感じた。それにしてもおじいちゃん不憫過ぎ。そしてこの邦題は詐欺過ぎる(配給会社さんの苦労もわかるけどさ)。
次回作あるのかなあ。是非とも某先生に二代目オリヴェイラを襲名して頂きたい。