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5.08

『とらわれて夏』

贔屓の監督にこの邦題はさすがにないんじゃないのとぶつぶつつぶやきながら、ジェイソン・ライトマン監督『とらわれて夏』(原題は『LABOR DAY』)を。
80年代のアメリカ東部の町、心を病んだ母と優しい息子の慎ましい母子家庭のもとにいかつい脱走犯が現れ、サスペンスかと思いきやロマンスへと変化していく感動的な物語。見るものを恐怖に震え上がらせた前作『ヤング≒アダルト』から一変、やっぱり女は頭おかしい設定やけど、現在から過去へと流れる時間が、最後の最後まで優しさに満ちた映画でございました。
状況は全然違うと思いつつ、中年男女の限られた時間の中でのラブストーリーって設定とか、田舎町の雰囲気とか、なんとなく『マディソン郡の橋』を思い出しながら見てたんだけど(主演の少年は『チェンジリング』の子どもやし)、脱走犯の動きにいちいち性の匂いがぷんぷん過ぎてちょっと笑ってしまった。でもこれ作品全体が中学一年生の男の子の視線を通してのお話なので、思春期の妄想が入ってると思えば可愛いもんなのかと。
父親として恋人として現れたはずの見知らぬマッチョな男が、料理と家事が超得意、という設定はなかなか面白く、だからこの優しい結末も含め、よくできたファンタジーなんでしょうね。こんな脱走犯なら私も喜んで匿いたい。誰かピーチパイ作って。